ビタミンDが不足している高齢者は、着替えや階段を上るなどの日常的な身体活動に困難を来す可能性のあることが、新たな研究で示されました。
現在、高齢者の90%はビタミンDが欠乏していると推定されています。
ビタミンDは通常、日光を浴びるか食事によって摂取することができ、骨や筋肉の健康に重要な役割を担っています。
ビタミンDが欠乏すると骨密度減少、筋力低下、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)および骨折などの原因となります。
55〜88歳のオランダ在住者1,300人強を6年間追跡した研究が発表されました。
被験者のビタミンD値を評価するとともに、
・椅子に座る
・椅子から立ち上がる
・休憩なしで5分以上外を歩く など、
日常的な作業の能力について尋ねmした。
高齢の集団(65〜88歳)では、ビタミンD値が最も低い群は、1つ以上の身体的制限のみられる確率が、ビタミンD値が最も高い群の1.7倍でした。
若い集団(55〜64歳)では、身体的制限のある確率が、ビタミンD値最低群は、ビタミンD値最高群の2倍でした。
高齢集団では、ビタミンD値最低群の70%に少なくとも1つの身体的制限がみられたのに対し、ビタミンD値が中等度または高い群の多くでは身体的制限がみられなかったと報告されています。
さらに、ビタミンD欠乏のみられる人には、時間の経過とともに新たな身体的制限が発生する可能性が高いことが判明しました。
高齢集団では3年、若い集団では6年で新たな障害がみられました。
「ビタミンD値の低い高齢者には身体活動の制限がみられ、時間の経過とともに身体機能が低下する可能性が高い。身体活動に制限のある高齢者は介護施設に入所する比率が高く、死亡リスクも高い」と、研究著者であるオランダ、アムステルダム自由大学メディカルセンターのEvelien
Sohl氏は述べています。
この知見は、高齢者のビタミンD欠乏が自立した生活をする能力を低下させる可能性があることを示すものだと同氏は述べ、「ビタミンDの補充が身体機能の低下を予防する1つの方法となる可能性があるが、さらに研究を重ね、この考え方を追究していく必要がある」と付け加えています。
今回の研究ではビタミンD値と運動制限の間に関連が認められましたが、因果関係を裏付けるものではありません。
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