緑茶またはコーヒーを毎日飲むことで脳卒中リスクが低減する可能性があることが日本の研究で示され、国立循環器病研究センター(大阪府)の小久保喜弘氏は、「生活習慣を容易に改善できない人は、脳卒中予防のため緑茶を毎日飲むとよい」と述べています。
コーヒーや緑茶に、このような効果のみられる理由は明確にされていませんが、小久保氏は、血液凝固を抑制する特性によるものではないかと述べています。
緑茶には抗酸化・抗炎症作用のあるカテキンが含まれており、またコーヒーに含まれるクロロゲン酸などの物質は、2型糖尿病の発症率を低下させることにより脳卒中リスクを低減する可能性があると考えられています。
さらに、コーヒーに含まれるカフェインは、コレステロール値や血圧に影響を及ぼし、インスリン感受性に変化をもたらし血糖値に作用すると考えられています。
米国心臓協会(AHA)の元会長であるRalph Sacco氏は、この種の研究からは、コーヒーや緑茶を飲んだ結果として脳卒中リスクが低減したかどうかは明確にはわからないと指摘しています。
しかし一方では、「これまでにも複数の研究でコーヒーや緑茶が脳の健康に有益な効果をもたらすことが示唆されており、健康を改善する重要かつシンプルな食事法があることを示すエビデンスが蓄積されつつある」と述べています。
今回の研究では、45〜47歳の男女約8万3000人を対象に、緑茶およびコーヒーを飲む量のほか、通院記録、死亡診断書、心疾患および脳卒中による死亡のデータを追跡しました。
平均13年間の追跡の結果、1日に1杯以上コーヒーを飲む人は脳卒中リスクが約20%低く、1日に2〜3杯の緑茶を飲む人は、ほとんど飲まない人に比べ、脳卒中リスクが14%低く、4杯以上飲む人では20%低かったとの事です。
脳卒中全体の約13%を占めるという、出血性脳卒中のリスクは、コーヒーを1日1杯、または緑茶を1日2杯飲む人では32%低いとの事です。
この所見がコーヒーおよび茶に関連するものであることを確かめるため、今回の研究では年齢、性別、体重、喫煙、飲酒、食事および運動などの因子も考慮されています。
なお、緑茶を飲んでいた人は、飲まない人に比べ運動をする比率が高かったと、研究グループは指摘しています。
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