脳卒中後の患者のバランスを改善し、活動性を向上させるのにヨガが有用であることが、新しい小規模研究で示され、オンライン版「Stroke」に掲載された。
今回の研究では、6カ月以上前に脳卒中を起こした患者47人(約4分の3が男性)を対象に、
◎週2回のヨガを8週間継続する群
◎週2回のヨガに加えて週3回以上のリラクセーション法を行う「ヨガプラス」群
◎通常治療群
の3群のいずれかに割り付けた。
ヨガのクラスは公認のヨガセラピストが指導し、改変したヨガポーズ、リラクセーション法および瞑想を実施した。
ヨガの内容は週ごとに難度を上げていった。
その結果、通常治療群の患者に比べ、ヨガ群ではバランスに有意な改善がみられたほか、転倒に対する恐怖が少なく、自立性および生活の質(QOL)のスコアが高かった。
脳卒中を起こした患者の多くでは長期的にバランスの問題がみられ、そのため身体機能の障害が大きく、転倒リスクも高い。
今回の知見から、「集団で行うヨガなどは費用対効果に優れ、(脳卒中患者の)運動機能およびバランスの改善をもたらすと考えられる」と、研究を率いた米Roudenbush退役軍人局(VA)メディカルセンターおよびインディアナ大学
(インディアナポリス)のリハビリテーション研究科学者であるArlene Schmid氏は述べている。
脳卒中患者のリハビリ療法は一般に6カ月で終了するが、脳の変化および身体機能の向上は6カ月後以降も持続する可能性があるとSchmid氏は指摘する。
「問題は、医療制度がそのような改善に対する支払いに必ずしも積極的でないことである。今回の研究から、片麻痺のある慢性の脳卒中患者でも、ある程度の補助があれば改変したヨガポーズを行うことが可能であることが明らかになった」と述べている。
米レノックス・ヒル病院(ニューヨーク)のRoger Bonomo氏は、効果的なリハビリ戦略が強く求められているとの考えを述べている。
同氏は、「脳卒中後の患者の転倒リスクを軽減できる方法はどんなものでも貴重である」とする一方、理学療法士にヨガセラピストとしての公認資格がなければ、多くの患者が治療としてヨガを利用することはできないだろうと付け加えている。
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