静かな曲として知られる「トロイメライ」(シューマン)をラットに聞かせたところ、ストレスに連動するとされる交感神経の活動や血圧が顕著に低下し、「癒やし」とみられる効果があることが永井克也・大阪大名誉教授(神経科学)の研究グループの実験で分かった。
永井名誉教授は「においや光などの刺激に対するラットの交感神経の反応は人間とよく似ている。これまで感覚的に行われてきた音楽療法の効果を実証できた」と話している。
実験では、腎臓の交感神経に電極を取り付けたラット約70匹に音楽と雑音をそれぞれ1時間聞かせた後、神経活動や血圧の変化を測った。
ピアノ演奏の「トロイメライ」では、実験前と比べ神経活動が最大で32%、血圧も最大12%低下した。怒りを表したとされる「革命のエチュード」(ショパン)や、「シャー」という雑音では、変化がみられなかった。
奈良新聞 2007年10月1日
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