名古屋市立大学大学院医学研究科の岡嶋研二教授らは、大豆イソフラボンに胃潰瘍を抑制する効果があることを確認、米国生理学会雑誌「American
Journal of Physiology」に発表した。
ラットを擬似手術群、卵巣摘出群、卵巣摘出+エストラジオール投与群、卵巣摘出+大豆イソフラボン摂取群に分け飼育した。フジフラボンP40を0.5%飼料に混ぜて与え、手術後35日目に水浸拘束ストレス試験を行なったもの。水浸拘束ストレス試験とは、ラットを水に浸けた状態で拘束することによるストレスモデル。4〜8時間の処理で胃粘膜にびらん性病変が形成される。その結果、卵巣摘出群の胃粘膜障害は有意に増加したのに対して、卵巣摘出+エストラジオール投与群とでは擬似手術群との差が見られなかった。また、胃粘膜中のCGRP濃度は水浸拘束ストレス負荷前、負荷後も卵巣摘出群と比較して他の3群は有意に高い値を示した。通常、水浸拘束ストレス試験による、ラットのストレス性の胃粘膜びらん性病変は、雌のほうが耐性が強く、その理由としてエストロゲンの分泌量の多さが要因とされる。
岡嶋教授らはラットの水浸拘束ストレス試験において、エストロゲンおよびエストロゲン様の作用を持つ大豆イソフラボンが、「胃粘膜中のCGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)の濃度を増やすことで胃潰瘍を抑制する」としている。
CGRPとは神経ペプチドの一種。胃のプロスタグランジンの濃度を上昇させ、胃粘膜の炎症を抑え、胃酸による胃粘膜障害を抑制すると考えられている。
健康産業新聞 2007年2月21日
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