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[2007.02.08]

68万“がん難民”に光
全国に診療拠点病院


奈良は県立医大付属病院 相談センター設置

 推計128万人といわれる日本のがん患者(厚生労働省調べ)。その過半数の68万人が、納得できる治療を求めて迷い、悩む“がん難民”状態だという。宣告を受ければ、ただでさえ目の前が真っ暗なのに、医師や医療機関の闘病指導が不十分だからだ。でも、全国どこでも質の高いがん診療や、相談が受けられるようにするための「がん診療拠点病院」が、この1月でようやく全都道府県に行きわたった。

 地域ごとにがん治療の中心となれるよう、厚労省が準備を進めてきたのが、この拠点病院。指定要件としては「専門医師や診療設備などが整い、患者の相談に応じる部門、緩和ケアチームなどが設置されていること」など。
 これまで179病院が指定されてきたのに加え、1月中に新たな107病院の指定が決定。全国計286病院となり、昨年までは1ヶ所もなかった秋田県に4つ、兵庫県に10病院が指定されて、やっと全都道府県に広がった。
 「がん難民」という呼称と推計68万人なる数字を提示したのは、民間研究機関の日本医療政策機構(代表=黒川清・前日本学術会議会長)だ。
 がんと診断された患者は、治療の可能性、より確実な治療を探し求めて、不安と悩みを抱え込む。中でも「医師の治療説明に不満足、または納得できる治療方針を選択できなかった患者」との規定に該当するのが「難民」。この人たちは平均3ヶ所以上、最多19ヵ所も受診している。

 保険診療費だけで平均141万円、自由診療分などを加えると305万円をかけているという。実際、別の調査でもがん患者の75%が、医師から治療費の見通しについて十分説明を受けていないこと、医師たちも76%が、費用のことまでは、あまり説明していないことが明らかになっている。
 その点、拠点病院には必ず相談支援センターが設けてある。専門医の治療対応はもちろんだが、心理面や費用面の不安なども相談できる。
 がん患者の、年間負担医療費は平均128万円。その出費を民間保険でカバーしているのは43%どまり、との調査データもあり、患者や家族にとっては、出費不安も大きなウエートを占めるようだ。
 なお、拠点病院は国立がんセンターの「がん対策情報センター」ホームページ(http://www.ncc.go.jp/jp/cis/index.html)で所在検索できる。医療ソーシャルワーカーだけでなく、がん闘病経験者をスタッフに加えている所もあるという。奈良県では県立医科大学付属病院(橿原市四条町、電話0744-22-3051)が拠点病院。

奈良新聞 2007年2月8日

 
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