マグロやサバなどの魚から抽出した脂肪分を原料とするサプリメントを活用して生徒の学力向上につなげようという試みが英国北東部ダーラム州の学校で広がっている。集中力を高めて反社会的な行動をする生徒を減少させる狙いもある。
同州のベルモント中学校では2006年11月下旬からサプリメントの活用を始めた。学校が保護者に説明資料を送り、同意を得た上で希望する生徒は食後などにサプリメントを摂取する。サプリメントは企業が提供し学校や家庭に費用はかからない。保護者は参加に極めて前向きだという。
同校のジュディス・ウイルキンソン校長は「当初は50人程度の参加と思っていたが、実際には予想を上回る120人の生徒が参加の意思を表明した」と話す。試みを始めたばかりで成績向上を示すデータはまだないが、同校長は「学校としては生徒の学力向上につながればうれしい」という。
ダーラム州では、教育心理学者のマドレーヌ・ポートウッド博士らが中心となって、この「フィッシュオイル・プロジェクト」を2001年から展開中だ。反社会的な行為などが原因で退学処分になる生徒の数が減るなど、実際に成果が上がっているという。
同博士は「魚の脂肪分が脳内で情報の伝達速度を速め、理解力と集中力が増進する。日常行動にも変化が表れることがこれまでの研究で解明されている」と指摘する。同州ではすでに39校、約3500人の生徒が参加。
ベルモント中学の生徒キャサリン・スミスさんは、「兄が以前からこのサプリメントを使っていて、集中力が高まったような感じがしていた。私にも効果が出れば」と期待している。
読売新聞 2007年1月12日夕刊
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